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そのためその一年間は沙希に悪いことをしたと、多少の自己嫌悪に駆られたものだった。忙しいとはいえ、新婚家庭なのに妻のことを放っておくのはやはりおかしいことだ。
一方妻はそんな夫の苦労をちゃんと分かっているようで、何も言わず笑顔で支えてくれていた。沙希のその心遣いが峰澤の心を癒し、安らげていた。
仕事の要領が掴めてきた二年目、峰澤は時間的にも精神的にも余裕が持てるようになった。その頃には沙希も妊娠していて、去年いっぱい構ってやれなかったというお詫びの気持ちを込めて、仕事以外の時は付きっ切りでいろいろと手伝った。
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