蝉時雨

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 今まで夢を見ていたのか回想だったのか、峰澤には判断がつかなかった。  時刻は午前四時を過ぎたところだった。峰澤は病院のロビーの長椅子にもたれ掛かって、手元にある空のペットボトル容器をくるくると回した。  何をしても、何を考えても落ち着かない。不安が心を締め付ける。  胸が痛い。心が抉られるような感覚とでもいうのだろうか、痛みが胸からじわじわと広がっていくようだった。  気を紛らわすために絶えず何かをしていないと、自分自身までもが壊れそうで恐かった。  精神は疲れているのに、体はくたくたなのに、どうしても眠る気にはなれなかった。  身悶えしているうちに、やがて朝日がカーテンの掛かる窓から入り込んできた。  長かった夜が明けた。
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