15人が本棚に入れています
本棚に追加
それから三十分ほど経った頃だろうか、意外にも早くに優香が起きた。
「パパ、おしっこー」
それだけ言ってイスから降りる。峰澤は優香の手を引いて一緒にトイレへ向かう。
用を済ませ、手を洗わせて出てくる。
無垢な笑みを振り撒く優香に、気の進まないことを言わねばならない。
優香を悲しませたくない、でも沙希のことを言わねばならない。
どうしようもないジレンマに峰澤は自己嫌悪する。
そして、言葉を探しながらゆっくりと話し始めた。
「優香、ママはね、今そこの部屋で寝てるんだ。
まだ起きてないけど、会いに行くかい?」
優香の頭を撫でながら言う。優香は満面の笑顔を峰澤に見せた。
最初のコメントを投稿しよう!