蝉時雨

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 肌の色のことなのか包帯のことなのかは定かではなかった。ただ、どちらにしても白いことに代わりはない。 「ママはね、昨日怪我をしちゃったんだよ。だから、包帯をぐるぐる巻いて寝てるんだ。」 「ケガしたの?いたいのいたいの飛んでけしたら治る?」  ひたすら不安そうに峰澤に聞いた。優香は今にも泣き出してしまいそうだった。 「…きっと治るよ。『いたいのいたいの飛んでけ』ってママにやってあげようか?」 「うん!」  それから二人で『いたいのいたいの飛んでけ』と二、三回やった。  こんなことをしても治りはしないことはわかっていた。ただ治ってほしいという切実な願いと、優香の健気さのためにやらなければ峰澤の気がすまなかった。  優香は沙希が寝たきりということを理解してくれるだろうか…。 「…優香は良い子だね。さぁ、そろそろ帰ろうか。」  手を引いて部屋を出ようとした時、ちょうど誰かが部屋に入ってきた。
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