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またも沈黙が部屋を占めた。重苦しい空気が二人の間を行き交う。峰澤も義父も腕を組んだまま黙っていた。
やはりこのままではいけない。峰澤は何回目かの反省をし、回りくどいことを言っても仕方がないのでここに来た理由を単刀直入に話すことにした。
「お義父さん、今から沙希さんとのことで大切なお話をしたいと思います。どうか、聞いてください」
義父は目を閉じたまま体を前後に揺らめかすだけだった。それが話を聞くという肯定的な態度なのか、「話など聞きたくない」という否定的な意味合いなのかについては、峰澤には甚だ知る由も無かった。
だけどそんなことは峰澤にとってどうでもよかった。
この重い空気を打開することは無理でも、沙希に対する想いは義父に理解してもらいたかった。
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