一匹目、黒猫を見つめる華。

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 僕がそんなことを考えている事を露知らずか陸はそんなことを言った。いや、“思った”の方が正しいのかも知れないが僕からすれば関係ない。メモリーダイバー(以後ダイバーと呼ぶ)の力のおかげ(?)で僕からすれば“言った”で良いのだ。 『うーん……』 「…どうした?」 『シン兄ぃのかつら似合ってないなぁって』 「五月蝿い。それよりいい加減降りろ。重い」 背中から陸を引き剥がそうとするが剥がれない。……仕方ない、な。こういう時は、と……。 「今日のお茶請け、ロイヤルマグナムホットケーキにしようかと思って――(シュパッ!『お、降りたよ!』 ……ハ、現金なヤツ。  陸は僕の背中から降りると眼を全く持って眩しい位にきらきらさせて僕を見つめてくる。……今のコイツにしっぽと耳がついてたらパタパタやってるな。絶対。 「はァ……わかったよ。ついでだ。今日の気紛れ黒猫メニューもこれにするか。」 『ヤッタ~♪』 「良いから行くぞ。」 『うん♪』  そして僕たちはこれから三年間の間学園生活を過ごすであろう学園の門に向かって歩き出した。 アイツが僕の天敵となる事を知らずに、だが……な。 ――あァ…そういえば言い忘れてたが陸は僕の事を“シン兄ぃ”と呼んでいるが陸は僕と同い年だ。まァ、見た目とか性格なんかは小学生の低学年もいい所だ……全く。 『あれっ?シン兄ぃ何処に行くつもり?』 ……気付かれたか。 「屋上だ。サボる。」 『えっ』  僕は人の流れから外れようとしていた自分の足を止めずに僕の吐き捨てた言葉で固まってしまった陸にそれだけを言い残してスタスタと屋上に向けて足を運ぶのだった。 『シ、シン兄ぃのバカーっ!』 ──と、まぁ…そんな僕に陸が手を振り回しながら叫んでいた事も 「キャッ!?」 『えっ?あっ!ごめんっ!』 運命に巡り合わせたのも僕は知るよしもないのだった。前者はカンタンに予想できなくもないがナ。  
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