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「そもそも確認しなかったお宅も悪いんだし?」
「そ……れは」
確かにそうだけど……
それにしたって、いきなり眼下に墓地が広がってるなんて――…
少し冷静さを取り戻す中で、思わず見知らぬ他人にしがみ付くなんて言う失態を犯してしまった自分に、一人自己嫌悪の陥りながらも
敢えて墓地の事に触れなかった、あの寂れた不動産屋のおじさんの、少し禿げあがった頭の飄々とした後ろ姿を思い出し
もしかしたらこの同居の件だって、確信犯だったのでは無いのかと、思わずグッと下唇をかみしめていた。
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