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「何だよ?」
「なっ……何でも無いわよ」
そうして自然、視線を逸らしてしまった私を
薫は、その、人を見透かしたような厚かましい程の視線でフンと軽く見下ろしていた。
「隠すなって?
俺の顔に見惚れてましたって、素直に言えよ」
「はぁぁッッ!!?」
よ…っくも、まあ、そこまで抜け抜けと……
思わず、その横っ面を張り倒したい衝動をすんでで抑えながら、それでも精一杯の皮肉を込めてその涼しい顔を振り仰いだ。
「ほッッんと、アンタって良い性格よね?」
「だろ?」
「…………」
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