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「ちょっ――…ちょっと待ちなさいよッッ
勝手に入って行かないでよッッ!!!」
玄関先で両手をグッと広げながら、何とか男の侵入を防ごうとするも
そいつは、「は?」と、怪訝そうにそんな私を一瞥すると
邪魔…と毒突きながら、こともなげに私の左手を掴み取っていた。
「イタッ――…ちょっ
何すんのッッ!!離しなさいよッッ」
「……アンタ、今更何言ってんだよ?もう、契約だって済んでんだよ?」
だいたい……と、その男『桜井 薫』は、如何にも面倒臭そうにして私の手を乱暴に振り落とすと、その大きな体を折り曲げるようにして、こちらを振り返った。
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