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「って……えっ!?だって……じゃあ、収入…は?」
「知り合いに、ボチボチ営業掛けて……まあ、これからって感じかな?」
そうして大きな欠伸を一つ漏らすと、又のんびりとコーヒーを口に運ぶ薫を前に
「ちょっ――…ちょっと待ってよッッ」
私は、手にしていた通勤鞄を危うく落としそうになりながら、咄嗟に薫を振り仰いでいた。
「ねぇ……それって、つまり
『失業中』って事でしょ!!?」
「…そうとも、言う」
「『そうとも言う』って――…」
どうするつもりなのよ、これからの家賃――…
薫の口から飄々と繰り出される爆弾発言に、呆気にとられたまま開けた口を塞げないでいる私の顔を
「まった、ひでぇ~顔」
薫は、そう悪態をつきながら、事もなげに見下ろしていた。
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