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「そっ…そんな――…「さてと」
一瞬怯んだ様に私が黙り込んだ隙に、薫は玄関先に置いていた段ボールを軽々と持ち上げると
そのまま何の躊躇いも遠慮も無く、ズカズカと部屋に上がり込んでいた。
「手前はアンタの荷物があるみたいだから
俺は、奥の部屋を使わせてもらう
……あっ、それとも俺が手前の方にしてやろうか?」
そうして何食わぬ顔をして、部屋に荷物を運びいれている薫に
ハッと我に返った私は、慌てて、部屋の扉に手を掛ける薫の左腕をグッと掴み取っていた。
「ちょっ…まだ話がッッ――…「あんたさぁ」
すると薫は、私の両手を右手で引き剥がす様にしながら、さもウザったそうな眼差しを私に落としていた。
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