最悪の同居人

4/16
前へ
/52ページ
次へ
「そっ…そんな――…「さてと」  一瞬怯んだ様に私が黙り込んだ隙に、薫は玄関先に置いていた段ボールを軽々と持ち上げると そのまま何の躊躇いも遠慮も無く、ズカズカと部屋に上がり込んでいた。 「手前はアンタの荷物があるみたいだから 俺は、奥の部屋を使わせてもらう ……あっ、それとも俺が手前の方にしてやろうか?」  そうして何食わぬ顔をして、部屋に荷物を運びいれている薫に ハッと我に返った私は、慌てて、部屋の扉に手を掛ける薫の左腕をグッと掴み取っていた。 「ちょっ…まだ話がッッ――…「あんたさぁ」  すると薫は、私の両手を右手で引き剥がす様にしながら、さもウザったそうな眼差しを私に落としていた。 .
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加