行き倒れた少年

10/10
前へ
/209ページ
次へ
 少しずつ、少しずつ、ガキは喉を動かした。  何分間そうしていたのか。  繰り返しふきんを濡らしては飲ませていたババアが立ち上がり、厨房からカップを持って戻ってきた。 「ほら、そろそろ動けるだろう?ゆっくりお飲み」  優しく笑って、ババアはガキの手にカップを触れさせる。  ふと、ガキが笑ったような気がした。  わっと食堂の空気が沸いて、歓声が上がった。  ガラじゃないが、悪くない気分だった。
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

94人が本棚に入れています
本棚に追加