行き倒れた少年

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 俺の名前は、ジョージ=アレクセント。  ここ、貿易都市マルクの門番である。休憩から戻って仲間と交代したら、目の前にちっこい行き倒れがいたでござる。  いや、なんだよコレ。今、俺来たばっかだよな?ってことは、俺が来る前から門の前に倒れてたって事になる。  ロゥシュの野郎、面倒だからって交代するまで放っときやがったな!!あー面倒くせぇ!  ロウシュってのは、さっき交代した衛兵仲間だ。  俺もシカトしちゃおうかな~。なんて思ったりするけど、さっきから通商門を通る通行人の視線が痛い。 『おいおい、何見てんだよ。早く助けてやれよ税金泥棒が』 『可哀想に。見殺しにするつもりだよ。世も末だねぇ』  そんな声が通行手形確認待ちの連中から、ボソボソと聞こえてくる。  キッと睨み付けてやると、慌てて視線を逸らした。  チッ、仕方ねえな……。てかこれ、生きてんのか?死んでたらやだな。触りたくねえなぁ。  舌打ちして、行き倒れをよく見てみる。
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