行き倒れた少年

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 薄汚えガキだなぁ。顔なんか砂だらけじゃねえか。って、うつ伏せで倒れてたんだから、当たり前か。  髪は、黒髪か。東方人種?やだねぇ、俺の嫌いな人種だ。  偏見は良くないって神父様は言うが、あいつらの宗教は、なんつうか怪しいんだよな。なんか仕草とか大げさだしよ。  ま、取り合えず意識があるか確かめてみるか。 「おーい、生きてるかぁ?」  ぺちぺちと頬っぺたを軽く叩きながら呼びかけてみる。  ……ピクリとも動かねえ。  こりゃ、相当参ってるか、死んでるかだが……。口元に手を当ててみると、呼吸はしてる。  唇は乾いてガサガサだし、頬もこけてる。さっき仰向けにした時も、随分軽かったからなぁ。  となると、水も食料も無いまま放浪してて、ここまで辿り着いたら安心してぶっ倒れたってとこかな?  はぁ、めんどくせえ。けど、しょうがねえ。
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