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………あった。恐らくこの書類に、あの事について何か書いてあるはずだ。
私は、書類を手に取り細かく書かれた文章を読み始めた。
「1925年、私達は、政治家達からある兵器を作るよう命じられた。」
1925年……?
あの事件が起こる9年前のことか。
「政治家達に命じられたその“兵器”はあまりに危険過ぎる物だった。
だが、私達は政治家達の言うことを聞かない訳にはいかなかった。
その“兵器”は、戦争をしている他の国に売り付けて、金儲けにするらしい。
私達は、約9年の歳月を賭け、遂にその“兵器”を完成させた。
しかし、その“兵器”が、どのくらいの威力があるのかと、政治家達が聞いてきた。
私達には到底予想も着かなかった。
だが、政治家達はその“兵器”の威力を確かめさせろと言ってきた。
私達が、どうやって確かめるのかと聞いたらその政治家達は事もあろうことか、村一つを破壊出来る威力かどうかを確かめると言ったのだ。私達は、勿論反対した。
そんな事をしたらその“兵器”を使われた村はひとたまりもないからだ。
しかし、その政治家達は、その実験を強行させた。
そして、1934年、ある村が消え去った。後から聞いた話によると、その村に住んでいた村人全員が一夜にして消え去ったらしい。
私達は、死ぬ程後悔した。
そんな事になるなら、最初から作らなければよかったと。
その後、私達の仲間は、ノイローゼで次々と自殺をした。
そして、最後に残ったのは私だけになってしまった。
恐らく私ももうすぐ仲間達の所に行くのであろう。
色々な発見をして、共に喜び合った仲間達の所へ………。」……………………………………。
そういう事だったのか………。
私は、あの事件の真相がようやくわかった。
………みんな、悔しかっただろうな。
何の罪も無いのに、実験対象にされて。…………政治家どもがぁぁ!
自分達の金儲けのために沢山の人達を殺しやがって………。私の腹底から怒りや、憎しみ、悲しさや、悔しさが湧いてきた。
もう、このような悲しい事は起こさせるものか。
私は、そう決心した。
………まずは皆の仇を果たすために政治家どもを殺しに行こう。
その後、村人達を消し去ったあの“兵器”をこの世界から無くすために、どこかの国で、スパイをしよう。
スパイをして、あの“兵器”を持っている国を見つけだす…………。
それが唯一、私に出来る事なのだから。
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