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苛々する。
とても苛々する。
気持ち悪いくらいだ。
威張っている奴程、見掛け倒し。衣装と“ナリ”だけ超一流。それだけ。
多分連中はいい所から出た貴族や領主、宗教関係者だろう。坊やだけに戦い方がまるでなっていない。
とは言っても、新米の私は基礎訓練課程を経て無い故に戦場に行く事が出来ない身の上だ。人の事は実は言えない。
入隊式後全新米兵は訓練施設に追いやられ、そこで或る程度使えるまで訓練する決まりになっている。第一試験をクリア…つまりただ軍隊の底に入るのは簡単だが、その上に行くにはここで良い成績を修めねばならない。戦で使える、と判断されて正式に軍隊に配属。ヒエラルキー(階段階級制度)の底辺から一段階上に行ける訳だ。
取り敢えず大半は入れておいて、後で使えるか見るという感じなんだろう。
こんな状況だ、少しでいいから名を売って一刻も早く正式部隊に入らねばならない。取り敢えず凄そうな奴に喧嘩を売り、時には買ったりして居るのだが…
異様に弱い! 先が思いやられるくらいだ、一体どうなってしまうのやら。
嗚呼、苛々する…
足踏みしている暇は無いのに…
「…おい貴様」
「!?」
異様な気配に私は構えながら踵する。だがその姿を見て冷や汗が一気に吹き出した。
ダークバイオレットを主体とした派手な、天体を司る飾りをした衣装。輝く紫水晶の瞳。有色人種系の、少し焦げた肌。そして白髪のような短い銀髪…
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