PARGE1 MEA-私-

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 将軍フェルト。  魔導帝国最上級の重鎮にして、魔導の師。多くの魔術師が彼女の門下生と言うから驚きである。  噂によるとどうやら相当のババアらしい。この国の「オババ様」だ。外見が可愛らしい子供だけにそう思えないが、実年齢はかなりのものとか。 「…失礼致しました」 「消し炭にしても良かったのだぞ、無礼者」  だがそんな軽々しい事を言った瞬間、今日が私の命日になる。冷酷非道な彼女の事だ、多少機嫌を損ねただけでも間違なく即死刑を下すだろう。  ツンデレ、という人格属性でないかとの噂もあるが。 「良い、貴様をここで消しては意味が無い。聞きたい事がある」 「何でございましょうか」 「貴様が使っていた、あの魔法は古代語の一つか?」  ああ、成程。ソレが聞きたかったのか。 「いえ、ソダリタース(ここではヒュムノス語)という魔術言語です」 「ソダリタース…何処のものだったかな……ああ、そうだルーテンフォルゲン卿の、趣味の悪い術か」  ふむふむとフェルト。  魔術師にはそれぞれ専門分野がある。最凶の魔術師と呼ばれるフェルトですら専門は詠唱系の暗黒魔術……と我々下々の噂だ。いくら彼女が多岐に渡る魔術師と言えど全てを知る訳もなく。こう魔術名が出て来るのも稀だろう。  どこぞの誰かが言っていたが、全ての系統をマスターするには数千年かかるそうだ。
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