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血。私の魔術言語で『prooth』。
発音は、『プロース』
紙で手を切ってしまった。
ここ…図書館の所蔵物ではないから汚しても構わないのだが、切った指先を舐め、垂れて汚れないないようにする。
舐めると独特の味がした。錆びた鉄のような味、だけど少し違う味。
赤い、赤い…
そう言えば血のインクで護符を作ると良いらしい。良く分からないが、猫の血やコウモリ、最高級品ではドラゴンの血を使うそうだ。人間は知らない。もしや魔術師が鉛を持つのと同じように、錆び付いてしまうのだろうか。又は若さを保つ為、貴婦人が処女の血を浴びたように、何か効果があるのだろうか。
そんな事を思う。
「どうした?」
「少し切っただけ」
前に居た人が尋ねてきた。
「そう…大丈夫?」
「大丈夫」
他愛もない会話。
それが出来るのもあとどれくらいだろうか。
私が読んでいるのはルーテンフォルゲン卿…義父様から送られて来たソダリタースの最新辞書だ。全て覚えてモノにせねばならない。覚えないのは論外だ。
でも、感情的に出て来る事が多い。きっと改造の結果だろう。
因みに目の前の人は錬金術の本を読んでいる。錬金術師なんだろうな。
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