PARGE1 MEA-私-

9/25
前へ
/847ページ
次へ
         †  血。私の魔術言語で『prooth』。  発音は、『プロース』  紙で手を切ってしまった。  ここ…図書館の所蔵物ではないから汚しても構わないのだが、切った指先を舐め、垂れて汚れないないようにする。  舐めると独特の味がした。錆びた鉄のような味、だけど少し違う味。  赤い、赤い…  そう言えば血のインクで護符を作ると良いらしい。良く分からないが、猫の血やコウモリ、最高級品ではドラゴンの血を使うそうだ。人間は知らない。もしや魔術師が鉛を持つのと同じように、錆び付いてしまうのだろうか。又は若さを保つ為、貴婦人が処女の血を浴びたように、何か効果があるのだろうか。  そんな事を思う。 「どうした?」 「少し切っただけ」  前に居た人が尋ねてきた。 「そう…大丈夫?」 「大丈夫」  他愛もない会話。  それが出来るのもあとどれくらいだろうか。  私が読んでいるのはルーテンフォルゲン卿…義父様から送られて来たソダリタースの最新辞書だ。全て覚えてモノにせねばならない。覚えないのは論外だ。  でも、感情的に出て来る事が多い。きっと改造の結果だろう。  因みに目の前の人は錬金術の本を読んでいる。錬金術師なんだろうな。
/847ページ

最初のコメントを投稿しよう!

345人が本棚に入れています
本棚に追加