─序章─

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──俺は機械になりたい。 感情なんて、いっそ捨ててしまった方がいい。 そうすればきっと、この下らない世界に倦怠感を抱く事もないだろう。  憎しみの情念や、嫉妬心に苛(さいな)まれる事も、下らない柵(しがらみ)に囚われる事も無いのに。  無表情で淡々と仕事をこなすあのカラクリ達を見て、俺は常々そう考えるんだ。俺は俺が嫌いだ。人間は醜い。  いつしか誰かが俺に言っていた。『お前の眼は立派な人殺し』だと。図星だ── ──勿論好きでこうなった訳では無い。俺は何も間違った事はしていない。  俺は世界を救いたかっただけなのに、この下らない世界を──  いや、もしかすると俺は……ただ“壊したかった”だけなのかも知れない。 ──まぁ、今となってはどうでもいい事だ。
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