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青年は、ボサボサの銀髪頭をポリポリ掻きながら、悲哀に満ちた表情で深い溜息を付く。
変な空気が流れてしまっていたが、先に切り出したのは青年だった。
「あのさぁ、“化け物”はあんまりじゃないか? お兄さんは一応君を助けた訳で……」
しかし、それを聞いても少年は、未だに顔を強張らせ後退りしていく。青年は、手を差し伸べながら少年に詰め寄る。
「ほら!“化け物”じゃないでしょ? そりゃ一応登場シーンだったし、格好つけたいじゃん? 俺」
青年は、笑顔で訳の分からない事を言いながら尚も詰め寄る。少年の背後はもう壁だった。
「『登場シーン』って何言ってんだよ? 僕まで殺す気なんだろ!?」
「あのなぁ、俺は・・・・」
──すると、背後から誰かに肩を叩かれる。青年が振り返ると、そこにはボロボロのフードを身に纏う少女が立っていた。
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