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少女はフードから僅かにエメラルドグリーンの瞳を覗かせ、金色に輝く髪は、風によって優しく靡いている。
「何してるのかな? ルイ」
少女は薄笑いを浮かべながら、頬を引き攣らせていた。ルイと呼ばれたその青年は、ばつの悪そうな表情を浮かべ、必死に弁解を始める。
「いや! 違うんだって! たまたま兵隊に襲われてる少年を見つけて、助けてたんだよ!」
それを聞くと、少女はルイの肩に手を置いたまま辺りを見回す。
「ふぅん、少年って何処にいるのかなぁ?」
「え?」
ルイは慌てて後ろに振り返るが、少年はそこにいなかった。恐らく逃げてしまったのだろう。
「あ! あの餓鬼ぁ!」
少女は呆れた顔で溜息を付き、肩から手を放すと踵を返し、ゆっくりと歩き始める。
「いいから、早く戻りましょう。みんなが待ってるよ」
少女はそう言うと、その重そうな脚を引き摺らせていた。
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