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ミントは目を閉じると、耳を澄ました──遠方から建造物が崩れ落ちる轟音、軍隊の会話、銃声、軍用ヘリのプロペラの音が聞こえてくる。
すると──
【コツン・・・コツン・・コツ】
路地裏に響き渡る足音、この音の反響具合から計算する体重は、丁度少年ほどの足音だ。
(これだ)
ミントは標的を見つけると、しばらく閉じていた眼を開き、ルイに振り返る。見つめたまま静かに頷く。
「こっちよ」
ルイはミントに従い、後にくっ付きながら歩いて行く。ある程度ここ一帯の軍は撤退しているが、依然として油断は禁物だ。
「それにしても猫の耳はすげえよな。虫の足音も聞こえるんだろう?」
荒廃したストリートを歩きながら問いかけるルイに、ミントは振り返り眉を顰(しか)める。
「そんないい物じゃないよ。聞きたくない物まで聞こえてくるんだから、だからフードは必需品なの」
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