[第三次世界大戦前]

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第二次世界大戦後から2010年あたりまでは現実世界と同じ歴史を辿っている。 問題はその後、資源の枯渇が予想以上に早く始まったことだ。 2015年の国連発表では、2014年時点で水資源、化石燃料の枯渇が深刻で、世界の人口75億人中42億人が既に安全な水を利用できず、石油の残り採掘可能年数は2013年ペースで42年。 つまり、2055年には石油が枯渇する、というものだった。 更に、2030年時点で安全な水を利用できる人口は20億人にまで減少すると見積もられた。 この国連発表は現在では、資源節約の推進を目覚した国連による誇張が含まれていたと思われるが、この発表の後、先進諸国は自国の資源確保の為に動き出す。 一連の資源争奪戦争は、国連発表の一年後の2016年夏、中華人民共和国が〈人民共和国資源保護構想〉を発表し、関連法案を制定したことに端を発する。 この〈人民共和国資源保護構想〉は、2025年までに自国のエネルギー需要を満たすために安定した供給先を傘下に治めること(侵略行為を含む)、自国から産出する資源を国外への売却、流出を禁止する事を定めている。 また、風力・太陽光・水力発電などのクリーンエネルギーへの転換を促すことも盛り込まれていた。 当時、中国は世界第三位の資源産出国であり、中国からの輸入に頼っていたアメリカはこの発表に抗議、2018年末を期限に関連法案の撤廃と取引再開を求めた。 この後、2018年まで約二年間に渡って水面下での交渉が続けられたが、交渉は難航した。 2018年5月の会合では、激しい議論の末にアメリカ全権大使が激昂して退席するという劇的な結末を迎えた。 これにより米中交渉は完全に決裂し、米中全面対決の構図が決定的となった。
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