Aged rabbit

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 その後、何時も僕の体調を治してくれる魔法の家に連れてってもらい。少しだけ状態が良くなれた。とは言えそれは実は僕のやせ我慢。  魔法の家に行った後も僕の傍で悲しいのサインを出し続ける御主人様。疲れて横で眠ってしまった。僕は自分の先がない事を確信して居た。  そして朝。  御主人様が目覚めて心配そうな顔のまま餌を取りに行く。  「ムーチャン、エサダヨ、タベレル?」  僕は食べた。不思議なもので食欲なんてないのだが、御主人様が喜ぶと思うと、口へスルスルと入って行った。お腹は痛いままであったが飛び跳ねもした。御主人様は両手を挙げてニコニコと嬉しいのサインをしている。僕は嬉しかった。  それから一週間程であろうか、普通の日常を過ごせた。勿論、僕のやせ我慢ではあるのだが。ただこの前の腹痛は急に来たので覚悟が出来て居なかった為、それからの日常は僕にとって至福の時間であった。  僕は餌を貰う時も、抱っこされる時も、一々「ありがとう幸せだよ。」と心で唱えた。やはり言葉に出来ないのは恨めしい。  ただ御主人様が諦めない事で生まれた、この少しの時間を、いつもと変わらない日常を再び過ごせた事に、僕の胸は一杯だった。
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