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心、此処に非ずの貴方。
俺は…此処だよ?
ねぇ…俺を、見て。
『隠れた影と、触れられぬココロ』
『なぁ、セックスしない?』
それは、突然の電話だった。
常識も、良識も欠如した時間帯の着信。
少し不機嫌を装ってみるも、実は想いを寄せている相手からの連絡。
嬉しくない訳が無かった。
『流鬼って、今、彼女とか居んの?』
「居ねぇよ。
居たら、AVなんて買わねー」
『AVで抜いてんの?(笑)』
「悪ィかよ」
最初は、ごく普通の会話をしていたものの、真夜中且つ欲求不満と言う事もあって、話が卑猥な方向へと流れていく。
『ふーん、じゃあさ、俺としてみない?』
淡々と放たれた台詞。
余りにも、自然に発せられた言葉に「えっ?」と間抜けな声を上げてしまった。
『俺と、セックスしない?』
相も変わらず、淡々とした口調。
「なっ…何、言って//」
『独り、寂しく抜いてるより、気持ち良いぜ?』
暇な日は?と聞かれ、それ以上の抵抗を諦めた俺は、、結局アイツと会う事になった。
―――アイツこと、玲汰は、ネット上で知り合った。
今流行りの、コミュニティサイトってやつ。
そこの、とあるサークルでオフ会があり、約十人程集まったメンバーの一人だった。
金髪で切れ長の目。
鼻には何故か布を巻いて、変な奴って思ったけど…カッコ良くて。
―――思えば、一目惚れ、だったんだ。
人見知りな俺だけど、勇気を出して話し掛けたら、玲汰も気さくに話してくれて。
もっと、もっと好きになった。
―――AV、なんて嘘。
何時も夜は、アイツの目に犯され、声に乱れている自分を想像するんだ。
そんな、好きで堪らないアイツから―――あんな誘いが来るなんて。
「期待…して良い、んだよな…//」
震える指に、そっと唇を寄せ、目を閉じた。
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