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ザアザアと降りしきる雨。
意識が薄れゆく中、微かに感じる、頬を滑る冷たい感触。
重たい瞼を無理矢理こじ開け、最初に見えたのは愛しい貴方の顔。
しかしその表情は哀しみで歪んでいた。
ギシギシと軋む身体を叱咤し、彼の頬に手を伸ばす。
「……泣かないで……カナタ」
嗚呼、さっき頬に落ちたのは雨なんかじゃない。
きっとカナタの涙だ。
「セツナっ……! 喋んな、今助けを……」
哀しみと焦りとが混じるカナタの言葉を「いい」と遮り、掠れる声で言葉を紡ぐ。
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