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俺は、“彼女“をガン見してたけどその彼女は、全くといっていいほどこちらに気づくそぶりもなく、黙々と朝の雪面を滑る。
(…めっちゃうまくね?…ありゃ完全に経験者だわ…)
“彼女“は雪がたくさん積もってできた坂に登りはじめた。
(…あそこから滑る気かよ…!?…5メートルはあるよな…?転んだら…まずいよな…?…てか俺チャンス…!!)
俺の妄想をよそに彼女は坂の頂上まで登りきった…。
そして前傾姿勢……。
頼む…!!
怪我しない程度にコケてくれー!
そしたら俺がこのフェンスを飛び越えて…
「……大丈夫かい?…ほらおぶってやるから…!」
「……あっ、あなたは?」
「…名乗るほどの者じゃないですよ。ほら、俺の手につかまって。」
妄想だけが暴走する。
でも、さっきの滑りを見てるとコケる要素がまるでない…。まぢ素人目線にもめちゃくちゃうまいってのが分かる…。
「……ザシューーーー!!」
あっ。滑りはじめた。
その時…!
「……ガシャン!!ゴロゴロ…ザシュー……」
(……まさか…!?夢が叶った?)
彼女は坂から転げ落ちたようだ…。
(…俺、最低。)
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