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でも、行動に移そうと思った事は一度もなかった。
死ぬ、のには矢張り抵抗があったのだ。
人間という”一生物”である所以か、生存本能が歯止めを掛けるのだった。
自分の内で、死にたいという理性的な欲求と、生きたいという本能的な欲求が拮抗して、理性はいとも簡単に本能の前に破れ去ってしまうのだ。
これには一寸喜びを感じた。
矛盾、しているかもしれないがそれには相応の理由がきっちりと存在していた。
”人間”であるかどうかは別として、自分は一応、地球上に生きる生物のひとつである事が証明された。
そんな気がして。
それが妙に嬉しかったのだ。
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