2日目

2/24
前へ
/98ページ
次へ
 中間テストも終わり、あの光景も目立たなくなってきた頃。  神野さんが学校を休んだ。  神野さんのおじいさんから電話があって、風邪をひいたとの連絡があったらしい。  僕がそれを知ったのは帰りのHRでのこと。もちろんいない事は分かっていたが、特に神野さんと親しいわけじゃない僕が理由を知る由もない。  男の子を寄せ付けないあの神野さんを病気にさせるとは、粘着質なウィルスだな。新型インフルエンザかな。……な~んてね。 「男をまったく寄せ付けない神野が風邪ひくなんて、新型インフルエンザだな」  一瞬ドキッとしたが平静を装いつつ、後ろを振り返り声の主に言い返す。 「失礼だな、神野さんだって風邪くらいひくさ」 「そうか、でもアキラこそそう思ってたんじゃないか?」  ニヤリとした笑顔で眼鏡の奥の瞳が僕を捉える。  完全に見透かされた感覚に陥り、返す言葉もなく僕は力なく笑った。 「さすがに小学校からの付き合いなだけはあるね、東山」 「アキラの考えそうな事を言っただけだがな」
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加