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芸者のべべんっと力強い三味線が鳴り響いた。
「三千世界の~鳥を殺して~」
その横で扇を広げ蝶の様に可憐に舞う一人の女。
名前は「君菊」
京都北野上七軒町『安曇野』の売れっ子である。
顔はまだあどけないがどこか色気があり妖艶さを持つ舞妓であった。
「今日も美しいな…
君菊は」
一人の男性は芸妓に注がれた酒を飲むのも忘れて、口を開けながら熱い視線を君菊に送っていた。
見るものを一瞬で魅了し虜にさせる舞。
可憐な蝶が舞っている様だと彼女の舞は京中で評判になっていた。
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