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学園祭まで、あとわずかになり……
「はいっ!タイミング遅いっ!そうじゃないでしょ!もっと観てる人が驚くタイミングで入らないとダメ!」
部長で監督でもある吉岡鈴(よしおか・すず)の声が部室に響き渡る。
「そこで、モンスター登場でしょ!?モンスター役どうした!?」
吉岡部長が部員を見回す。
「部長。モンスター役は川田くんです…」
部員の言葉に頭を掻く部長。
「ああっん…川田か…」
吉岡部長が、顔を歪める。
吉岡部長は、長い髪を後ろで一つに束ね、メガネ…典型的な優等生だった。
「川田の奴~、今回は主役じゃないから、やる気がないな…仕方ない、川田の場面は飛ばすよ!」
部室にいない川田くんは放って次に進めようとする部長。
「ちょっと待ってよ!川田くんだって、ここまで一緒にやってきた演劇部員じゃない!」
吉岡部長に意見したのは私、武藤みゆきだった。
そう、私は演劇部なんです。
「しかし…いないものは仕方ないじゃない?大丈夫よ、川田くんの台詞は少ないし、川田くんなら上手く合わせてくれるわよ、練習なんかしなくても。」
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