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僕には彼女がいる。正式にはいた。
過去形だ…。
彼女の名前はゆかり…。
今までの説明じゃ何がなんだが訳がわからないだろうから…細かく説明しようか。
僕は今…僕であっても僕じゃないんだ。
話は数年前の二十歳の誕生日にさかのぼる。
今も二十歳じゃないのかって?
そう…僕は今も二十歳なんだ…。
まぁいいじゃないかなんでかって…
それを今から聞かせてあげよう。
あの頃僕は…自暴自棄になってたんだ。
営業の仕事も成績が悪く上手く行かず…パチンコに行っては負けっぱなし…
おまけに彼女は決して可愛いと呼べる女でもない…
友達も数すくなくて…何をやってもダメダメ男…
世の中って…不公平だよな。
同じ二十歳でもすでに役職ついていて、金持ちで良い女がいて…なに一つ不自由なんてなさそうな奴だっている。
なのにぼくは…今までの人生だって…特に目立つ事もなく…ただただ平凡…
疲れたんだ…
こんな自分に…
不公平な世の中に…ムシャクシャして…
誕生日だって言うのに…営業成績のせいで上司に怒鳴られて…外回りの途中…公園のベンチで頭を抱えて…
公園のトイレに行こうと思ってトイレに入ったんだ…
そしたら…
物凄い光と共に不思議な感覚に包まれて…
気がついたら会社のディスクに座っていたんだ。
なにが起きたのかまったくわからなかったけど…
近寄ってきた上司に怒鳴られるとばかり思っていたんだ。
ツカツカ近寄ってきた上司が…突然笑顔で僕の肩を叩いてきた。
「やるじゃないか‼しゅう‼素晴らしい‼君が考えていた企画が成功したよ」
企画?なんだそれ…なにかの間違いじゃ…
「早速君には特別席を用意させてもらったよ。今日から君は主任だ‼」
え?僕が主任?役職?…
何が何だかわからないけど…僕はその日浮かれて仕事場を後にしたんだ。
家に帰る前に不思議だなぁと思いながらも浮かれてパチンコ屋に寄ったんだ。
まさか…出るわけないよな…
と思っていたのにこの日に限って出るわ出るわ。
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