27人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋を出て、車に乗り込む。
「今回も頑張らなくちゃって思って、楽しくなかった?」
「ううん。いつの間にか夢中になってた。スグにいっちゃわないようには頑張ったけど。」
「ふふ。女性を気持ち良くしてあげようというサービス精神はとても大切よ。でもやっぱりHもコミュニケーションの一つなのよ。お互いが求めあえば、自然と快感は増幅する。それは快楽だけではなくて、たとえ、かりそめの恋人だとしても、その人を愛しいと思わなければ、ただの行為でしかなくなってしまって、残るのは倦怠感や虚無感だけだわ。チャンスがあれば色々な人と・・・って思いがちだし、それをカサに着ている人もいるけど、結局それは人間を使った自慰でしかないのよ。」
「なんか・・・深いね」
「大切なのは、したいからするって言うことより、その人だからしたいって気持ち。そういう相手とは、ただ寄り添っているだけで幸せな気持ちになるでしょ?それに付加するのがH。Hありきだと思ってると、痛い目に会うわよ。」
「はい。胆に命じます。」
「ふふっ。よろしい。」
二人でクスクス笑っているうちに、待ち合わせをした駐車場についた。
「あまり時間がないから、お茶も飲めなかったわね。今日はありがとう。」
「こっちこそ、わざわざ時間取ってくれてありがとう。また、いつか逢えるかな?」
「そうね・・・難しいとは思うけど・・・機会があれば。じゃあ行くわ。」
ミレイは車から下りると、自分の車に乗り込んだ。
そして、チラリと僕を見て笑みを浮かべると、何もなかったかのように車を走らせ駐車場を後にした。
僕はシートを倒し伸びをした。
ミレイの残り香が現実であった事を実感させているけれど、まるでリアルな夢を見たような気分だった・・・
おわり。
最初のコメントを投稿しよう!