50人が本棚に入れています
本棚に追加
ジリリリリリ…
「うーん。よし。今日も頑張りますか!」
私は西園寺学園に通う、西園寺みさと。
あっ、始めに言っておくけど「西園寺学園」は私のおばあ様が理事長をやっておられる学校なの。
私のお母様が幼少の頃からあるんですって。
本当かしら?
まぁ聞きたくても、お母様はもういらっしゃらないし…。
本当は私もおばあ様と一緒に暮らす予定だったけど、私、なんかあの家苦手なのよね。
学校では常に優等生のフリ。家でもお嬢様らしくしていなくちゃいけないなんて息が詰まっちゃうわ!
まぁお嬢様ってのはホントなんだけど…
私には最初から向いてなんかいないのよ。
お花は1ヶ月で挫折しちゃったし、踊りは1週間でやめたし、お茶なんか1回でやめちゃった。
だって苦いんだもん。
それでも最後まで続けてこれたのは柔道!
普通のお嬢様はこんなの絶対習わないんだろうけど、私の家は、
「お嬢様だからって守ってもらえると思ったら大間違いです!自分の身は自分で守りなさい」
っていうのが口癖だったからこれだけは習わせてくれたの。
今じゃ、向かうところ敵なしよ!
あっでも、学校ではこの事は内緒なの!
だって一歩学校に足を踏み入れただけで尊敬の憧れの瞳を力一杯向けられてしまうんだもの。
言ったらどうなっちゃうのかしら。
「はぁぁ。」
「ん!?」
みさとは突然鋭い視線を感じた…。
「…気のせい…か…」
「ふぅ。やめて下さいよ蓮様。気付かれたかと肝が縮みましたよ。」
「あいつか…」男は呟いた。
「はい。あの方が私達の新しいボスになられる[みさと様]です」
「ふっ。まさかこんなやつが俺達のボスになるとはな」微笑を浮かべながら[蓮]と呼ばれる男は含み笑いをした。
「まぁ。お手並み拝見といこうか…。いくぞ[ユーリ]!」
「お、お待ち下さい蓮様!」
どこからともなく来た二人組はそう言うとみさとの通う学校へと去っていった。
かくして、みさとは今日という日が人生史上最悪の日になろうとはこの時みじんも思っていなかっただろう…。
いつも通り、完璧な優等生モードへと変貌を遂げて学校へと入っていくのであった。
最初のコメントを投稿しよう!