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ところが、銃声は鳴り響かなかった。静寂だけが満ちていく。
エミリーは信じられないモノを見た。
「……嘘。……全部爆発したはず……」
銃口に一本の針が刺さっている。針電。レグルが生み出した雷の針。
さっきのぶつかり合いにより、全て爆発したものだと思っていた。
なのに、今、目の前にある。
愛銃の先端に突き刺さっている。それが意味するものは一つ。
「――――ッ!」
行き場を失った魔力が暴発した。ただでさえ、キャパシティーを越える魔力を込めていたのだ。
比喩出来ないほどの音を響かせながら、銃が爆発した。
咄嗟の判断で明後日の方向に投げたが、爆風は容赦なくエミリーを吹き飛ばした。
地形を変えてしまうぐらいの威力をその身に浴びて、エミリーは傷だらけだった。
「痛いよォ」
地面に擦られたことで身体中砂だらけで、傷も多々ある。
特に足が酷い。どこかに刺したのか、ドクドクと血が流れている。
涙が出そうになる。
結局、勝てはしないのだ。レグルが強い。自分は『落ちこぼれ』。
レグルが悠々と眼前に着地した。おそらく爆風を避けるために、今まで跳躍していたのだろう。
「さて、君に引導を渡してあげよう。武器もなくなり、動けなくなった身体。君の敗北だ」
言い返しはしない。
彼の言う通りだから。
私はレグルに負けたのだから。最後の最後で、詰めを誤ったのだから。
だから、
「なるべく痛く打ってあげようか、な!!」
振り下ろされた剣を呆然と眺めた。
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