第三章 頭でわかっていても

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 だが、レグルの剣はエミリーに当たらなかった。剣の進行方向を違う剣が防いだからだ。  その剣の持ち主は、ガルバード。  肥満体型な身体だが、エミリーが接近に気付かない速度で助けに来たのだ。 「そこまでだ、レグル君。エミリーさんはもう戦闘を続けることはできない。君の勝ちだ」  レグルの剣を弾き返して、ガルバードが威圧的に言う。  その背中を見ると、彼が頼れる大人だと解った。 「まだ動けそうですけどね、彼女は」 「足から血を流してるのだ。もう彼女は負けたことになっている」 「そうですか。なら、私が『トドメ』を刺す必要はないんですね」  レグルが強調した一単語に、震えが起こる。先生が来なければ、あのまま自分はどうなっていたのだろう。  想像するだけで恐怖から吐き気が込み上げた。 「では、私はもう行きます。早くエミリーさんを救護室に送った方がいいですよ」  そう言い残し、レグルは去っていった。新たな標的を求めて。  エミリーはガルバードに抱き起こされ、その安心感から涙が出た。 「今から救護室に行くよ。足を治療しないといけないからね」  教師とエミリーは第三野戦グラウンドから出ていく。 エミリー・クォールズ、一回目ランク付け、八位。
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