第三章 頭でわかっていても

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 身体を草木にぶつけながら転がっていく。螺旋魔法の通った跡だから巨大な木々はすべて排除されており、レグルの身体を止めるものはない。  散々全身を打ち付けて止まるが、アベルは既にレグルの間合いに駆けていた。  レグルが止まったのと少しのタイムログなく、大剣を振り下ろす。 「終わりだよ!」 「……まだだ!」  それを横に転がることでかわしたレグルに、アベルは蹴撃を放つ。死角から放たれた蹴りを避けれるはずもなく、またもやレグルが蹴り飛ばされる。 「今度こそ終わりだよ!」  まだ空中にいるレグルの真上に移動し、足を高々と天に向かって上げた。  そして、踵落としが炸裂する。 「…………ガッ!」  腹部にぶち当たり、鈍い音がした。レグルは急なベクトル変化によって、地面に凄まじい速度で降下していく。  その刹那。  人影が観客席から舞い降りた。ほかの誰も気づかないようだが、アベルには確認できた。  レグルは衝突寸前にガルバードに抱き抱えられていた。お姫様抱っこのような形でだ。 「は、放せ!」  痛みより羞恥が勝ったのだろう。レグルは助けられたと認識したら、すぐさま暴れだした。  それを窘める教師。  そんな二人に近付くアベルに、レグルは暴れるのを停止させ憎悪溢れる声音で告げた。 「……これで勝ったと思うなよ。君に勝ち、必ずこの学校から追い出してやるからな」
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