第四章 極東の双刀使い

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 一回目ランク付けから一週間が経ち、アベルはまた平穏な日々を過ごしていた。  レグルを倒した後すぐにダイドと会った。必然的に戦うのだろうと思ったが、意外なことにダイドは戦いもせず棄権した。  リタイアしていないのは、ダイドとアベルだけだったので、呆気なくランク付けは終わった。  エミリーは八位で、ユンフェミアは四位。ダイドは二位、アベルは一位だった。  取りたくてとった一位じゃないが、ダイドやユンフェミアが祝ってくれたから悪い気はしなかった。  ちなみに、物騒な捨てぜりふを置いていったレグルだが、いまだ何もしてこない。嵐の前の静けさのように感じた。 「しかしよ、梅雨ってのは憂鬱になっちまうよなァ」  現在、ダイドはアベルの寮室のテーブルで宿題の問題を解いている。  休みということもあり、溜まっていた宿題を終わらせようということになったのである。  アベルとしても解けない問題が多々あったため、迷うことなく了承した。 「雨が嫌いなの?」  アベルの問いに、ダイドは勢いよく首を縦に振った。 「当たり前だろ。雨だったら外で修練できねぇじゃねぇか。遊びに行くことだってできやしねぇ」 「僕は雨好きだよ。なんだか、あの雨が降る時のリズム感がいいんだよね」
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