第四章 極東の双刀使い

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「へー、変わってんなァ」 「そう……かな?」 「ああ、変わってる。めっちゃ変わってる。すっげー変わってる」 「いやいや、そんなに変わってないでしょ。雨が好きな人って結構いると思うよ」  窓から雨を見ていたダイドが大股で、テーブルまで戻ってくる。自分の部屋であるかのように、ドサッと座った。 「まぁ、雨が好きとか嫌いとかはどうでもいいとして」 「酷いね。自分から雨の話をし出したのに」 「細けぇことは気にするなよなァ。ていうか、お前さん訊いたのか?」  唐突なダイドに問いに、アベルは何がなんだが分からず首を傾げる。 「ホンットに鈍感大魔王だな、お前さんは。ルージュ先輩のことだよ」  ルージュ先輩と言われ、やっとダイドの問いの意味が分かった。  アベルは羽ペンを置き、ソファーに深く腰掛けた。 「なんどもさ、シセル会長にそれとなく訊こうとしたんだけど、駄目だったよ。あの人が一人になることって少ないんじゃないかな」 「訊いてねぇのかよォ、俺が手伝ってやろうか?」 「うーん、ダイドが手伝ったら悲惨なことになりそうだよね」  不思議なことに、その予感は当たりそうな気がする。百パーセントの確率で。
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