第四章 極東の双刀使い

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「悲惨てどういうことだよォ? 俺がルージュ先輩に手を出すとでも思ってんのかァ?」  口を尖らしたダイドに、アベルは苦笑した。 「そっか、ダイドはルージュ先輩に手を出す気なんだね?」 「ばっ!? んなことするわけねぇだろォ! お前さん、俺の話聞いてたのかッ?」  妙に慌てるダイド。  かまをかけただけなのに、それがかえって怪しい。  鈍感大魔王と言われた怨みを返そうと、さらにアベルは追求することにした。 「あれ? どうしてそんなに慌ててるの?」 「慌ててなんかいねぇよ! お前さんが意味わかんねぇこというからだろうが!」 「いつもは声を荒げたりしないよね?」 「俺だって声を荒げる時だってあんだよ。悪いか」  やけっぱちな言い方にアベルはだいぶ気を良くした。  いつもユンフェミアとダイドからからかわれるだけなのだが、自分がからかう側に回るとそれが楽しくなる。  故郷にいた時は気づかなかった楽しさだ。セシリアをからかっても軽くあしらわれ、文学校では友達がいなかったから、からかわれたりすることもなかった。 「なんで声を荒げたの?」  また繰り返される質問にイラッとしたのか、ダイドの顔が引き攣った。  追い撃ちをかけようとしたアベルが口を開こうとした時、コンコンとノックが鳴った。
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