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「誰かな?」
来客の予定はダイド以外ないはず。なら、学校の先生か寮官だろうと踏んで、アベルは立ち上がる。
「多分ユンちゃんだなァ」
ダイドがポツリと言った。
アベルはなんでユンフェミアが? と疑問に思いながらも玄関口に歩く。ドアを開けるとそこには確かにユンフェミアがいた。
教科書類を持っているところを見ると、ユンフェミアも宿題をしにきたのだろうか?
――でも、なんでわざわざ僕の部屋に?
「こんにちは、アベル君。入ってもいいかしら?」
「え、ああ、どうぞ」
まるで入ることが当たり前のように、ユンフェミアが部屋に入っていく。
その後ろ姿を眺めたまま、首を捻ってしまう。
「おーい、アベル。さっさと来いよ」
ダイドに呼ばれ、部屋の奥に進むと既にユンフェミアは教科書を広げていた。
「ユンちゃんはな、俺が呼んだんだよ。ちょっと話したいことがあるしなァ」
部屋の主の了承を取らずに、勝手に他の人を呼んだダイドの不躾さに呆れる。
が、いまさらそんなことを言ってもしょうがないと自己解決し、アベルはダイドに尋ねる。
「話したいことって?」
「まぁ、話の主旨はお前さんのことなんだよなァ」
「僕?」
「そう。貴方よ、アベル君」
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