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苛立ったユンフェミアの声に、アベルは思わず極秘の任務について話したくなった。
しかし、かろうじて抑える。
話すべきではない。話せば、巻き込むことになる。
ただユンフェミアを守護すればいい。自分の役割を果たせればそれでいいのだ。
アベルは話を変えることにした。
「レグルについては考えることにするよ。謝るしか選択肢がないにしても、ちょっと考える時間が欲しいんだ。それより、もう一つの話ってなに?」
「まぁ、俺としてはこっちのほうが楽しみだったんだけどな。ユンちゃんはどう?」
「私はどちらも大切だと思うわ。けど、アベル君が時間をくれというならもう一つの話をしましょうか」
勿体振ってるのか知らないが、二人とも何の話なのか明確に教えてくれない。
レグルの件より深刻な話なのだろうか? いや、それにしてはダイドがニヤニヤし過ぎてる。
「ユンフェミア、話って……」
「ねぇ、アベル君」
再度訊こうとしたアベルの言葉を遮り、ユンフェミアが言う。
「貴方は人の恋を真剣に助けようとする気はあるのかしら?」
予想だにしなかった問いに、アベルはえっ? と間抜けな返事をしてしまった。
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