第一章 腕輪《アクセス》

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「君に“腕輪(アクセス)”を授けよう。ありがたく受け取り給え」  アベルは列車による長い旅を終え、無事にガレーディア公国の首都リザリアに辿り着いた。  五月中旬という中途半端な時期の転入のため、先ず学校に挨拶にいかなくてはならない。  そう考え、アベルは一直線に学校に向かうことに。ギルドからの支給品である地図を片手に、見慣れぬ街を歩くこと数十分。  アベルの眼前にとてつもない規模の建物が見えた。  街外れの緩やかな丘に建つその姿は、まさに圧巻の一言。複数の建物が建ち並び、それら一つ一つが影響しあっていて、外観の同調も施されていた。  半ば圧倒されながらもアベルは敷地内に入る。今日は平日。校舎内は騒がしい。  職員室に行こうとしたが、場所が解らないためその場所を聞こうと、ある男子生徒を捕まえた。  その男子生徒に転入生だと伝えると、ほとんど強制的に生徒会室に連れ込まれることに。  そして、先程の言葉である。 「腕輪……ですか?」  男子生徒が何が言いたいのか、アベルには理解不能だった。いきなり腕輪を授けようと言われても、反応の仕方に困るというものだ。 「あれ、あまり嬉しそうではなさそうだね」  後頭部で一本に纏められた長い黒髪に、知性を伺わせる黒い瞳に眼鏡。  ――この人は、何者なんだろう?
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