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「理事長?」
「そうだよ。そして、僕の父上が校長なんだ。ギルドから理事長に君が来ると連絡があって、君のサポートを僕が任された」
「サポートなんていりません。自分の力で護りきってみせます」
最強と呼ばれた意地から拒絶を口にしたアベルに、シセルはテーブルの上で手を組みながら口にする。
「しかし、君だけじゃ教師陣を動かすことはできないだろう? 教師たちは君の本来の目的を知らされていないからね。ここは学校だから、教師が物を言うんだよ。それは君達の国の学校でも同じだったと思うが?」
ひていすることなく、アベルは頷いた。
確かにシセルの言う通りである。学校では教師が強い。
アベルは文学を学ぶための学校に数年通っていたが、教師の圧迫感に辟易したのを思い出した。
「ならば、ここまで言えば解ると思うが? 彼女を護るためには四六時中護衛をしなければならない。サークル活動や月一の班行動など様々なことでね。その時、役に立つのが僕達一族だよ。理事長、校長、生徒会長。その三人が裏で操作すれば、一緒にさせるのは容易だ」
「……それは、そうですけど……」
なかなか煮え切らないのは、遠慮とかじゃない。
ただのプライド故だった。 他人の力を借りない。それだけが、アベルの強みだった。
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