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「まぁ、君が嫌だと言っても勝手に手助けしてもらうからね」
「え?」
「ぶっちゃけて話すと、君が来てくれたおかげで懸念材料が一つ減るんだよ。皇女殿下の護衛役を生徒会の誰かから決めようと思ってたところだったからね」
なるほど、どうやら自分は良いように使われたわけだ。そこまでになると、もうプライドとかじゃなく、どうでも良くなってくる。
「あの……それじゃサポートお願いします」
「こちらこそあてにさせてもらうよ、“殱剣君”」
「学校ではただの一学生ですよ。それは、ギルドに所属してた時の通り名です」
「ああ、充分承知してるよ。だから、あてにさせてもらう。“舞踏会”の時にもね」
聞き慣れない言葉に、アベルは首を傾けた。
シセルは足を組み直し、アベルが右手に嵌めた腕輪を指差した。
「舞踏会というのは、年に一度だけ行われる大会なんだよ。出られるのはほんの一握りの生徒だけでね、生徒会長が認めた生徒しか出られないんだ」
「それが、舞踏会」
「そう。そして、舞踏会に出るためには腕輪を持たないといけないんだ。強者の証である腕輪をね」
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