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暴君と言われる黄の国の王女。
けれども彼女も恋をしていた。
その相手は、海の向こうの青の王子。
いずれ彼と恋人になることを、王女は夢見ていた。
だが、彼には好きな女性がいた。
それは、隣国の緑の娘。
それを知った王女は嫉妬に狂った。
顔のよく似た召使に告げる。
「緑の娘を殺しなさい!!」
「……わかりました、王女」
珍しく言い淀んだ彼がどんな顔をしていたか、嫉妬に狂った王女は気づくことがなかった。
王女の望み通り、緑の娘は死んだ。
だが王女の狂いは止まらない。
ある日大臣を呼び出して、静かにこう告げた。
「緑の国を滅ぼしなさい」
「ですが、王女様!」
「さあ、早くしなさいっ!!」
その言葉通り、軍は緑に国へと攻め入った。
いくつもの家が奪われ、命が奪われて行く。
緑の国に攻めいれば、苦しむのは緑の国ばかりではない。
出兵で家族と泣きながら別れる兵士たち、さらに重くなる税。
苦しむ民衆の嘆きなど、王女には届かない。
教会の鐘が三時を告げ、王女は笑みを浮かべた。
「あら、おやつの時間だわ」
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