悪ノ娘1

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 暴君と言われる黄の国の王女。  けれども彼女も恋をしていた。  その相手は、海の向こうの青の王子。  いずれ彼と恋人になることを、王女は夢見ていた。  だが、彼には好きな女性がいた。  それは、隣国の緑の娘。  それを知った王女は嫉妬に狂った。  顔のよく似た召使に告げる。 「緑の娘を殺しなさい!!」 「……わかりました、王女」  珍しく言い淀んだ彼がどんな顔をしていたか、嫉妬に狂った王女は気づくことがなかった。  王女の望み通り、緑の娘は死んだ。  だが王女の狂いは止まらない。  ある日大臣を呼び出して、静かにこう告げた。 「緑の国を滅ぼしなさい」 「ですが、王女様!」 「さあ、早くしなさいっ!!」  その言葉通り、軍は緑に国へと攻め入った。  いくつもの家が奪われ、命が奪われて行く。  緑の国に攻めいれば、苦しむのは緑の国ばかりではない。 出兵で家族と泣きながら別れる兵士たち、さらに重くなる税。  苦しむ民衆の嘆きなど、王女には届かない。  教会の鐘が三時を告げ、王女は笑みを浮かべた。 「あら、おやつの時間だわ」
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