最期の挨拶

2/2
前へ
/23ページ
次へ
 私の父方の祖父は、私が中学生の時に他界した。  一番好きな親族だったため、今でも実は信じられないくらいだ。  その祖父の葬式に参加した時、父の姉――つまり私の叔母が、感慨深げにポツリと溢した。 「実はね、おじいちゃん、最期に私のとこに挨拶に来たのよ」  その叔母は、私が知りうる限り一番親族内で霊感なるものが強い。  伯母曰く、叔母の娘(つまりは私の従姉)の隣に、チョコンと正座している祖父の姿がハッキリ見えたのだと言う。 「お辞儀して消えちゃったけどね」  それは丁度、祖父が他界した時間だった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加