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優しい
ローリッツ大佐は彼女を完全に信頼させるために本当にしばらく自分の部屋にかくまってやることにしました。
今日は自分の分の食事を分け与えたり、シャワーを浴びさせたり、髪を洗ってやったり、 人道的行為の限り尽くしました。
そして万が一少女にユダヤ人を殺しているのを知られたらまずいので、毎度帳薄の仕事が終わったら真っ直ぐ自分の部屋に戻るようにして、彼女を殺すまでは普段の虐殺を我慢するようにしました。
何より彼女を殺す時の事を考えただけで普段の欲求が満たされる気がしたのです。
23時を回った夜中、色々と疲れた大佐は、もう寝ようと布団に潜り込みました。
人に気をかける何てこんなに疲れる事なんだな。
まぁこれがそんなに長く続くわけじゃないしな。
少しの我慢だ。
そう思って何気なく彼女を見ます。
彼女は椅子に座ったままで、何をしていいかわからないのか、こちらんチラチラ見ては恥ずかしそうに目をそらしています。
「こっちへ来い」
大佐は手招きをします。
彼女はゆっくり頷くと困ったように足を泳がせながら歩き、ベッドの近くまでくると止まってしまいました。
………
「お前は立って眠るのか」
じれったくなった大佐は少女の腕を掴むと強引にベッドに引きずり込みました。
「あっ………」
布団の中で少女を抱き込む。
最初は動揺している様でしたが、徐々に自分の腕の中で体を預けていくのがわかりました。
ずいぶん軽い女なんだな。
大佐は自分の胸に掛かる彼女の黒髪を指でそっととかしてやりました。
「…ナチスの人って、私皆酷い人かと思ってた…でも…、貴方は違う…優しいね」
彼女は頬を赤らめ上目遣いで言いました。
「本当なら私…殺されてもおかしくないのに…助けてくれてありがとう」
「………。」
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