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朽ち果てたような木で作られた駅のホームは、小さな体のライドレイが歩いてさえ、軋む音がする。
しかし、ライドレイはそんなのは慣れっこだと言わんばかりに、黄金虫のように輝く目の先は真っ直ぐに、口は真一文字に結んでいる。
別に何か不機嫌になる事があったわけでも、ホームにいる事が嫌なわけではない。慣れた仕事をする時には、表情を変えようがないのだ。
ホームの後部にある、これまたみすぼらしい木の荷車にライドレイは向かっている。
彼は、彼が寝るのには十分すぎる広さがある荷車に満載された、小綺麗で小さな石達を見て、呆れたような溜息をつく。
だるいと訴えかけるようにゆっくりと、彼は荷車の取っ手と荷車の間に身を入れて荷車を引っ張った。
荷車は、最初はゆっくりと、しかしだんだんと早く進んでいく。ライドレイの短い黒髪を風がなびかせる。
しかし、相変わらず彼の表情に笑みが現れる事がなく、機関車の後部に連結してある車両の一つに、軽々とした様子で勢いを利用し、小包を投げ込んだ。
彼は、荷車を機関車から少し遠ざかった所まで牽引した後、何かを待つかのように腕をしっかりと真下に伸ばし、機関車の先頭に取り付けられた煙突をこれでもかと凝視する。
時を待たずして、ちょうど煙突の上に昇った太陽を遮るように煙が上がり、そして警笛が人々に朝を告げるように鳴り響く。
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