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「俺、さ、」
「ん…?」
「…山崎君との子供が欲しい。」
「…むり。僕、男の子だもん…」
君との子供は作れない。
「山崎君?どうしたの?」
なんか、ぼろぼろ零れてきた。
どうしよう、また病気かな?
とまらないんだよ。
目から水が出てきちゃう病気?
「でも、僕…っ、一世と、の、ッ子供、欲しかっ、たよ…」
泣きじゃくっちゃって、上手く呼吸ができない。
「一、世…がいなくなっちゃったら僕…ッ、やだ…っ」
とまらない。
涙も、想いも。
止めなくちゃ。
一世が行けなくなっちゃうから、
止めなくちゃ。
「好きだよ、っどこも、いかないで…僕の隣に居てよ…」
一世の服の裾をぎゅっと掴んで、安心したかった。
「っ――――…」
一世は僕を抱き起こすときつくきつく抱きしめた。
挿入が深くなったけど、それよりも一世の高めの体温が心地よかった。
「…行きたくない。」
一世が呟いた本音は僕の心に波紋を作った。
戦争なんかに、
引き離されたくないよ。
一世と、
ずっと
ずっと
一緒に居たいのに。
「…っ、」
人生二度目のくちづけは
なんだか切なかった。
もう、忘れないように。
一世を、
身体に
心に
刻んで。
離れても、寂しくないように。
その日は一世の香りに包まれながら、朝を迎えた。
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